【SS】ルパパト「同室」【R18】
圭一郎が最高の女装を見せてくれた回(2号の仕上がってる感もよかった)、ルパンブルーも青いチャイナドレス着てあの低音で毒づきながらポーズ決めてほしかったと思うくらいには女装ネタ好きです。去年のラッキーはかわいすぎておもしろくなノーカン。
ていうかチャイナドレスの女装がたぶんいちばん好きなんだけど理由は自分でもわからない……でも同人でも3回はチャイナドレスやってる……むしろ女装といったら即チャイナドレスな気がする……なぜだ……しかもニッケル個人じゃなくてニッカリそろって好きっぽいのホント由来不明すぎて気持ち悪い……
オリジナルでも実験的に女装ネタやったんだけど今ひとつ盛り上がらなかったの、たぶんチャイナドレスじゃなくヴィクトリアンだったからだと思います。もっと早く気づけばよかった。
いや、ニッカリの性癖の話じゃなくて、ルパン赤青SS。
エロだけど攻め受けはないのでどちらさま(文字通り)もご安心ください。あと女装もしていませんのでご安心ください。
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ルパンの3人は同時期に知り合ってるはずなのに、年齢的には赤黄のほうが近いはずなのに、赤青だけお互いわかり合ってる感出してくるのなんだろうなと考えてたんですけど、男子は同室なんじゃないか?黄とはいっしょにいる時間の長さが違うんじゃないか?と思ったらなんか腑に落ちましたという話です。
まあベッドが一つでも魁利は気にせずもぐり込んでくるだろうし、透真は魁利を床に転がして寝ると思うので、なんか平和だなあの子たち。
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【Rouge】
透真が当番の風呂掃除を終えて戻ってくると、魁利は自分のベッドに寝ていた、というより身を投げ出していた。風呂上がりのまま掛け布団の上に転がっているが、服は着ているから風邪はひかないだろう。せいぜいひどい寝ぐせがついたと朝大騒ぎする程度だ。
だから透真もとくに声はかけず、さっさと明かりを消して自分も床に入った。まだ眠くはないが、することもないし目を閉じていればそのうち眠くなる。
だがおそらく五分もしないうちに、部屋の反対側から声がかけられた。
「……透真」
面倒なので返事をしないでいると、今度は窺うように。
「透真?」
口調ははっきりしていて今起きたという感じではない。何度も呼ばれるのは煩わしかったから、目を閉じたまま答えた。
「早く寝ろ」
「自分も寝てないじゃん」
うれしそうな声と、ベッドから起き上がる音。その先の展開は予想がついて、思わずため息が出た。
「あのさ」
「俺は寝るからな」
壁を向いて布団をかぶりなおしたが、そんなことで魁利は追い払えない。
「どうぞどうぞ」
部屋を横切ってこちらへやってくるにやけ顔が目に浮かぶようだ。案の定、彼はするりとベッドにもぐり込んできて、その腕を透真の体に絡めようとする。
「眠れるもんなら」
「おまえ……」
悪戯な手を払いかけ、しかし結局追い出すのはやめた。きっと盛大に拗ねて面倒なことになる。それに……
首筋に当たる息がすでに荒い。シャツの中に這い込んだ手は無遠慮に肌をまさぐり、迷わず下着の中にまで入り込もうとする。さすがにその手を掴んで押しとどめれば、くすくすと笑って首の後ろに口づけてくるから手に負えない。
「おい……」
強めに吸われたのを感じて、見返ろうとする。妙なところに痕でもついたら……
文句を言う前に肩に歯が当たった。今はべつに痛くもないが、彼は熱中するとそのうち加減を忘れてしまう。そうなると厄介だ。翌日まで残る痕をつけられたことも幾度かあった。
「やめろ……」
「……ん」
承諾とも相槌ともつかない適当な返事をよこした魁利は、噛みついた場所へ申し訳程度に唇を押しつけたが、やがてまた歯を立ててくる。もうすでに上の空らしい。
「魁利」
絡んでくる腕を押しのけながら、体の向きを変えて相手に向き直る。ちらりとこちらを上目遣いに見た魁利は、愉快そうな笑みを浮かべて正面から抱きついてきた。
「OK……ってことだよな?」
確認する口調も自信満々で、まともに返事をするのも悔しかったから無言のまま彼の肩口に顔をうずめる。
承諾したことなどない。いつも魁利が勝手に始め、つき合わされるだけだ。
「ぁ……」
腰を押しつけてきた魁利が、熱い吐息を洩らした。欲望はすでに存在を主張しはじめていて、相手を煽ろうとさらに強く擦りつけてくる。服越しに透真と重ねられるそれは固さしかわからなくて、もどかしいなどという穏便な感覚ではない。
危機感を覚え、彼を押しやる。
「待て、取ってこい」
「え、いいよめんどくさ……」
「一滴でもこぼしたら二度とベッドに入れないからな」
「……………」
魁利は不満そうな顔をしたが、それでもぶつぶつ言いながら布団を出ていく。彼が戻ってくるまで、透真は仰向けになって息を整えようとしていた。
「自分だけ冷めたりすんなよ」
急いで戻ってきた魁利は透真の体に乗りかかり、乱暴にコンドームをこちらへ押しつける。
どういう行為でもしたければ着けろ、なければ買え、と半分は牽制のつもりで言い渡したのだが、彼は意外とまじめに買ってきている。以前はともかく共同生活を始めてから夜遊びなどはしていないようだから、それは透真とのためだけに用意されているものなのだ。
二人は荒く速くなる息を抑えもせず、ベッドに倒れ込んだ。魁利の唇が、透真のあごに押しつけられる。それでも唇を重ねることはない。無遠慮な彼の、唯一の遠慮なのかもしれない。
「ぅうっ……」
魁利が喉の奥で呻き、透真は唇を噛みしめ声を殺す。
自分よりいくらか若い男は、遠慮も忍耐も持ち合わせていなかった。透真の上で細い腰をくねらせる姿は、こちらを責め立てているようにも、媚びを売っているようにも見える。
「やべ、イく……」
喘ぎながらそう囁いた彼は、透真の胸に爪を立てる。痛みに顔をしかめながら、透真は生乾きの髪に指を突っ込んでかき回した。
雑に後始末を済ませた彼は、そのままベッドに横たわる。
「おい」
声をかけても起きるどころか顔も上げない。
「自分のベッドに戻れ」
「……ん」
こちらの要求をうやむやにする返事だけで、魁利はうずくまって動かない。ここで寝ることを決めたようだ。
「……………」
深くため息をついて、透真は自分も彼に背を向ける。はじめに追い返さなかった時点で、こうなるのは知っていた。
その理由は、考えるまでもない。
昼間、国際警察とやり合って手こずらされたこと。その日のうちにリーダーの彼が店にやってきて、屈託のない笑顔を魁利に向けたこと。
おもしろがっている風を装ってはいるが、魁利の中では整理がつかなくなりはじめているのだろう。
考えたくないことを考えなくて済むように、彼はじゃれついてくる。決して深入りはしない。ただ気を紛らわすために、憂さを晴らすために、透真の懐へもぐり込んでくる。
それを一蹴できないということは、自分も……
透真は思考を頭から追い出し、目を閉じる。背後から規則正しい寝息が聞こえてくるのが、妙に忌々しく感じられた。
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【Bleu】
クールな男だと思っていた。口は悪いがストイックで、冷静で年相応に頼りがいがあって。
でもいざ一つ屋根の下で暮らすようになると、彼が冷淡なだけではないことがわかってきた。とくに二人きりの寝室では、初美花が決して目にすることがない一面をいやでも共有することになる。
狭い男部屋で、居場所は自分のベッドの上が定番だった。
そんな自分の上に影が落ちて目を開ければ、透真がいつもどおりの無表情でこちらを見下ろしている。
なに?と尋ねようとして、口を開いたまま相手を見つめ返した。そのまま、言葉を発するタイミングを逃してしまった。
大きな手が伸びてくる。その手が、ベッドの上に投げ出された魁利の手首を掴んでシーツに押しつけた。
「あれぇ?」
わざとらしく驚いた顔を作ってやるが、そう簡単につき合ってくれる相手ではない。彼は無言で乗りかかってきて、魁利の頬に唇を触れさせた。
「なになに、甘えたいモード?」
「黙ってろ」
感情のこもらない声で告げられた言葉どおり、広い掌が魁利の顔半分を覆ってしまう。口をふさがれ、目だけを動かして彼の表情を窺うが、これといって変化はない。
透真の感情表現が乏しいとは思わない。ただ、知りたいときにかぎって彼は無表情の下にそれを押し隠す。せめて意図くらいは見せてくれてもいいのに。
セーターをまくられ、冷たい手が腹に触れて思わず身をすくめた。片手で魁利の口をふさいだまま、もう片手は魁利の肌を静かに犯していく。
たまらず、魁利は口をふさぐ手を引き剥がした。
「……っは!」
大きく息をついて、相手を睨みつける。
「やるならちゃんとやれよ、くすぐってるだけじゃねえか!」
憤慨する魁利の顔を見て、彼は逆に噴き出した。これはわかる、馬鹿にしているのだ。魁利も負けじと透真のシャツのボタンを外しにかかるが、自分がセーターを剥がされるほうが早かった。
普段の冷淡さからすると、もっと手荒で相手のことなどおかまいなしに弄んだとしても驚かない、と魁利は思っていた。だから、彼が異常な要求を何もせず、暴力的でもないことは意外だった。
今も、片手で魁利の両手首をまとめて枕に押さえつけてはいるが、それだけといえばそれだけだ。耳や頬に触れる唇も、腹をゆっくり撫で下ろしていく掌も、魁利の性感を知った上でのサービスにしか思えなかったし、なにより気味が悪いほどに優しい。毒舌さえ、こちらが話しかけなければなりをひそめている。
「……っ」
なにか茶化してやりたくなるが、地雷を踏み抜く危険性もあるから迂闊なことは言えない。
以前、最中にふざけて「彼女ともこんな感じだった?」と軽口を叩いたら、ぞっとするほど冷たい目で睨みつけたかと思うと、どうにもならなくなった状態の魁利を放り出し部屋を出ていってしまった。それから気の遠くなるような数日間、魁利には指一本触れず、触れさせてもくれなかった。会話どころか視線を合わせることすら拒まれていた。やがて日常に支障が出はじめ、透真が折れるかたちで自然に収束したが、あれは完全に失敗だったと思う。
魁利が始めたこの関係は、透真が許すことで成立している。必要以上に踏み込んではいけない。後腐れがないように。互いが傷つかないように。
だが肌を重ねる以上は、気になってしまうものだ。己よりも大切な恋人にどう触れていたのか。いったいどんな表情を見せていたのか……
禁断の問いの代わりに、別の質問を口にする。
「俺のこと……抱きたい?」
暫し動きを止めた透真は、小馬鹿にしたような笑みをにじませて答えた。
「考えたこともない」
それはそれでおもしろくない、癪に障る返事だ。やけくそで彼の頭を抱きしめ、耳元に囁く。
「俺は、ときどき考えるよ……」
小憎らしいほどに落ちついているこの男を、女同然に扱ったら。どんな顔をして、どんな声で泣くのか。その奥はどれほど熱いのか。体を繋げた先に、この関係はどうなってしまうのか……
「俺をか?」
愉快そうに口を曲げて覗き込んできた、その頬をなぞる。
「透真エロいから」
「言ってろ」
艶のある低音が心地よくて、魁利は肩をすくめ笑った。そしてその声がどんな色に変わるのか、やはり知りたいと思った。
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仲間内で「魁利って出たての萩野崇に似てるよね」と意見が一致したので、きっと10年以上したらすげえ男前になってるんじゃないかと思います。がんばれ。