落第忍者乱太郎感想[2021.4.30]
※2022年追記:
転居を控えてて精神的に危うかった時期ですね。テレワーク基本の会社で唯一出社する部署というストレスフルな状況だったこともあって、しばらく落乱ワールドから戻ってこられませんでした。
関係ないけど今期の「勇気100%」、過去一ヘッタクソだよね!(今までも上手かったとは言わない)
忍たまではなく。
DMMのキャンペーンについ乗って『落第忍者乱太郎』を一気買いしてしまいました、という話です。『ぼのぼの』も買ったんだけど、落乱ショックが大きすぎてまだいけてない。
落乱というのは、アニメ『忍たま乱太郎』の原作にあたるマンガなんですが、キャラデザ含め作風が相当ちがいます。サザエさんとか昔のドラえもんとかみたいな感じ。30年くらい前まではアニメ化というのがそういう「変換」をあたりまえに伴う時代だったんですね。
アニメ化の前に「朝日小学生新聞」の連載で落乱を読んでいた私にとっては、それは飲み込みにくい「変換」でした。まあ当時ティーンだったからね。大人の事情なんて想像もできないからね。
キャラクターが小綺麗で頭身も高くなってて、小憎らしいだけのくノ一教室がかわいらしくなってて、能一傑号や能高速号がわけわからん名前に改名されて、マスコットと称して変な犬がレギュラー入りしている…なんていう怒涛の改変が受け入れられるはずもなかったのです。
でもまあアニメはアニメでご長寿作品になってるし、アニメのおかげで作品認知度は「朝小を購読できる一部のご家庭」から全国区全世代まで広がったわけだし、アニメ映画にも実写映画にもミュージカルシリーズにまでなっていて、尼子騒兵衛の名を永遠に残しているわけで。
ということでEテレ民としては日常となっている「忍たま」ですが、「落乱」はずっと今どうなってるんだろうと気になりながら、巻数と判型に慄いて、そして特別なきっかけもなく手を出していなかったのでした。
全巻一気買いと聞いて真っ先にカートへぶち込むくらいには気になっていたようです。
私がリアルタイムで読んでいたのはけっこう前半だったので、水軍は知ってるけど上級生はほぼ出てこないくらい。人気がある忍者隊の皆さんもまだいなかった。そっちはアニメから知った感じ。
ざっくりの流れとしてはこんな感じで変遷していってましたね。
↓乱きりしん物語
↓一年は組物語
↓上級生(委員会)繚乱期
↓戦国忍者絵巻
年齢感も改めて知りました。
忍術学園の生徒は6年生まで全員「忍たま」なんだな。1年生だけかと思ってた。
1年生10歳
飯加玄南13歳 <子供
6年生15歳 <青年
小松田さん(新卒)16歳
利吉さん(現役)18歳
土井先生25歳 <中堅
野村先生34歳 <ベテラン
山田先生46歳 <大ベテラン
16歳でもう一人前の大人、という扱い。わりと時代的にリアルな年齢感覚で、小学生には理解しづらかっただろうなあ。
28巻で20世紀終了。
新聞連載なだけあって時事ネタがちょいちょい入るんだけど、なにしろ前世紀の時事ネタですから。直接言及してないのもあって、思い出すにもいちいち時間がかかる。
自販機の毒入り飲料は連載当時でもギリギリだったかなと思うけど、大木先生が減反のあおりを受けて、なんていつだっけ?って考え込んじゃう。
出茂鹿くんは存在自体が時世だなあと思うし、派遣忍者と正社員忍者の対立とかすでにニュースですらないですからね今。
アニメ化後だと、土井先生の「スポンサーが口を出すとろくなことが」とか、魔界之先生の「ジャスラッコ」とか好きですね。
どんなに売れても毒があってなんぼ、という漫画家の本懐をひしひしと感じました。新聞は時勢を風刺しなきゃいけない笑
読んでて思い出したのが『銀魂』と『南国少年パプワくん(PAPUWA!)』。いや落乱のほうが先なんですけど。
両者とちがってセクシャルなネタはありませんが、基本的には血と暴力とクソとゲロにまみれたエグめのギャグマンガです。NHKアニメにはたしかにそぐわない……
パプワを連想したのは、ほぼ男性キャラクターのみで構成されていること。若い女性はほとんど出てこないし、女体となると皆無に等しい。
柴田亜美が昔「マッチョの男だけ描いていたい」と言っていたけれど、柴田亜美よりも尼子騒兵衛のほうが欲望に素直な気がする。成人男性の描き方にフェティシズムを感じるんですよね。そして小学生の私もそこが好きだったのよね……
好きなのは今も昔も土井先生。
当時、あの鎖骨や手の感じを真似して描いたりもしたものだけど、あまりにもベタすぎて今さら公言しづらいのが難点。初恋とは違うのよ……
わりと重めの過去がしれっと作者に言及されたり、山田先生と家族ぐるみのおつき合いしてたり、属性盛られすぎててなんかもう、ありがとうございます。
山田先生がシチュによって「土井先生」「半助」呼びを使い分けるのと、きり丸が土井先生と呼びつつシビアに生徒と同居人の顔を使い分けるのが、すごく好きなんです昔から(昔から)
兵庫水軍は誰が好きってわけじゃないけど、全員かっこよくて出るとうれしくなります。だって6頭身なんだもの。
しんべヱの妹カメ子ちゃんに対して丁重な扱いをする理由が、女子供への優しさではなく福富家が兵庫水軍の「得意先」だからというのがビジネスライク極めてていい。
プロ忍者の皆さんもだんだん役割が変わっていって、ファン層の変化なのかなとも思う。
前半ではメイン悪役&遊び相手だったドクタケが、タソガレドキに取って代わられるとは思ってなかった。
雑渡昆奈門が出番の有無に関わらずイケメンエピソードばっかり毎巻増えていくの本当にズルイ……タソガレドキは基本的に悪い城なのに、城主も忍者隊も有能なのがズルイ……(ハマってる)
上級生(2~6年生)は、個人的に学園モノとティーンエイジャーが対象外のため、ちょっとツボがわかりませんでした……
各学年代表2名くらいずつしか認識できてない……すみません。
そういえば友人が忍たま好きだったな、上級生のだれが好きって言ってたっけ、とこっそり探ってみたのですが、名前を聞いてもぜんぜんピンとこなくて……その彼が出てくるたび意識的に注意して読んでみても、他の子たちに比べて突出して個性が際立っている感はない。
おそらくアニメ(orミュージカル)ではオリジナルのエピソードがあるのでしょうけど、原作の情報だけでは彼の良さはわからなかった……すまぬ。
でもLINEグループに「落乱読んでる」と投げたら、ほぼ全員から「私は×年生の○○」「俺は△△先生」と口々に推しキャラの名前が挙がったのは、さすがかつての覇権ジャンルだと実感しました。
だから「土井先生」って言いにくいんだよな……笑
で、65巻が最終巻。
60巻くらいで、これが終わったら新しい落乱は永久に供給されないんだという喪失感にビビって、ついpixivでイラスト検索とかして終わりを延ばそうと無意味な悪あがきをしてしまいました。
大きなストーリーがあるわけじゃないからかもしれないけど、早く全部読んでしまいたい私にしては初めての感覚。
本当にいつもどおり終わってて、この先もまだまだ普通に描きつづけるつもりでおられたというのが、今さらながら悲しすぎて、読了の満足感よりもただ落ち込んでしまいました。
作者病気療養のためということですが、今後もどんどん時事ネタに乗っかってくれるはずだったのに……と思うと、体は大事に!健康第一!って全ての作家さんに叫びたい。
リアルタイムの読者とかなり時間差でショックを受けてしまって、自分の中でなかなか「読み終わった」区切りがつけられませんでした。
まさか、落乱でこんな思いをするなんて。
今さら「落乱」の解像度が上がってしまったため、どうにも「忍たま」が苦手になってしまったのが難点です。
でも山田先生の声優交代はしっかり見届けてるよ。大塚周夫明夫親子、今まで一度も似てると思わなかったのに、完全に山田先生でびっくりしたよね。