振り返りジュウオウジャー。
スーパー戦隊最強バトルの大和先生、まあそれなりに楽しんでいるわけですが。
カグラに放置されて自分で手当てするとこホント……ああいう場面がいちいちおもしろくなってしまうのが大和先生。
あとキレてタカ兄を黙らせたりとか。タカ兄はあの感じだと、息子が叱られてる場で「おしり~」とかやって嫁さんに「黙ってて!」って言われてるんだろうな。
タカ兄はともかく。
そういえば大和の根本的な問題点というか弱点?欠点?って、結局あの一年間で解決しなかったんだよなあって思い出してました。
いつまでも他人を頼らないし、周りもそれを当然としてたから彼の弱い部分を受け止めようとした人はいなくて、バドさんとかラリーさんとかも年上のわりにはそういう関係じゃなかったし。自己完結の方向性も、オラオラ系や熱血系の「世界がどうでも俺はこうだ!」みたいな感じじゃなくて、もうちょっと排他的っていうか独善的っていうか。
なんか、今回の「自分もお客さんなのに他のお客さんの対応をしなきゃならない」状況で自分を追いつめていく大和を見てると、「本編で解決しときゃよかったのに!」って思う部分が噴出してて、そういうとこ!ってなります。
大和メインだから、おもしろく振りまわされるだけだと思ってたら、けっこうガチで弱み突いてきたなって印象。
あ、ジュウオウジャー大好きです。そこは大前提です。
マーベラスはコラボのたびにいろんなレッドと浮気してますが(笑)、大和は手出しちゃいけないなと思いました。いやこういう企画の組み合わせとしてはおもしろいからいいけど、ガチでいっしょにいちゃいけないタイプだなと。マベは大和の弱さを理解できないし(そもそも受け入れるというコマンドがないし)、大和にもマベの奔放さを受け入れる余裕がないから、何かを我慢したり何かを強いたりする関係になってしまうと思う。
大和には、弱みを全部さらけ出せる、「背負わなくていいんだよ、周りを頼っていいんだよ」って教えてくれる、圧倒的な大人の説得力で全部受け入れてくれる年上の相手が必要だったんです、が! どこにもいないんですよね! 今回も圭一郎は所詮後輩だったし、ガオレッドは最大公約数的なアドバイスで消えちゃったし、まあお祭りなんでね、いいんですけど、ゲストは救ってはくれないんですよ。ていうかゲストじゃダメなんですよ、ずっと見守ってくれてる人でなきゃ。
なんかそういうの当時も言ってたなと思ったら上げそびれてたので、ここで出しちゃいますね。
以下、超全集買ったあたりの感想です。
大和中心で見てたので全体的にそういう感じになってます。
あと当時は、つかさ先輩という大天使がこの枠に降臨することなど知るよしもなかったので、アムちゃんが暫定一位ヒロインです。いやアムちゃんは最高だよね。でもつかさ先輩はもっと最高だったよね。
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2017年7月25日
超全集がBlu-ray抱き合わせでクソ高くなってから、ホントにおもしろかった戦隊しか買わないと決めてるんですけど。
今年は買いました!
よかった……すごくよかった。
Vシネとかのスピンオフってやり残したことやっちゃいけないよねって勝手に思ってるんだけど(本放送で出せなかった裏設定を超全集で出すのと同じ卑劣さを感じるので)、セラ&レオの決着はよかった。みっちゃんの未来もよかった。
なくてもいいけどあってもいい、という意味で、正しい「後日談」でした。
とにかくもう大和先生が最初からお気に入りで大和先生のために観てた部分もあるので、いつもの振り回される顔もコスプレして悪い顔するのも全方向から大和先生を堪能できて満足です。
ということで、今さらなんですけどジュウオウジャー総括。
ずっと「4人がジューランドへ帰る」ことしか考えてなかったから、ジューランドのほうがこっちに来たってとこに、うわーやられたー!!って完全降参しました(笑)。すごいピースフルで、でも全体的に力業っぽいジュウオウジャーらしくて、すごく納得させられたラストでした。
アムちゃん。
最初、ネコ科だから「あむっ」って噛んでくるんだな、ぴったりのかわいい名前だなって思ってて、ちがうよアムールトラだからだよ!ってどっかのタイミングで気づいて一人で恥ずかしかったです。あむっ。
もー、かわいいし賢いし大好き! キャラがホントに絶妙で、いかにも女子っぽいしたたかさを遠慮なく見せつけてくるのに、ぜんぜん嫌味じゃないのすごい。この加減はどうやって作り上げたんだろう。
個人的に「ブラック(ポジションの)ピンク」って呼んでるシンケンピンクと並ぶくらいのベストヒロインです。関係性としては深く踏み込まないけどレッドのことをいちばんよくわかってて、大事なところでさらっと大事なことを言ってくれる、絶妙な距離感がいい。
男だったらそりゃあ赤白でしたよって思うけど、でも茉子ちゃんもアムちゃんも女の子でその距離が保ててるから好感度高いんだろうとも思います。男だったら、きっと自分の事情に引っぱられてどこか見えなくなる部分があるんじゃないかな。
あとブラックピンクは有無を言わせない絶対的美人であることが条件のひとつだなとは思いました。雰囲気美人じゃ「女として勝負できないから」と思われてしまう。
女から「下りた」わけじゃないの、誰に対しても女の武器を使うし、ここぞって場面以外ではかわいさ全開で大和くんを振り回してくれてかまわない。大和くんもアムールトラを相手にするみたいに、アムちゃんのことはかわいいなあ仕方ないなあでも気を抜くと噛まれるんだよなあ、とか思っててくれていい。あむっ。
セラ。
クールなブルーと見せかけておいての脳筋……かなりのオラオラキャラでした。
レオとの関係が新しかったんですが、でも戦隊を見てる女の子たちはずっとこう思ってきたんだよね。女だからって手加減しないでほしいし、女である前に対等な仲間として見てほしい。戦隊内恋愛も減ってきたけど、あくまで仲良し5人組っていう路線でごまかしてきたところを、レオと一対一の関係でそう宣言するのすごかった。
で、そういう女の子が恋愛耐性なくて、結婚詐欺師に引っかかってしまうのもまあなんかわかる気はする……というかあれだけスペック高い人間来たら仕方ないよねとは思ったけど……アムちゃんの対応も含めていちいちリアルだったなと。
レオ。
あまり役に立ちそうにない三枚目、という点では非常にイエローっぽかった。ていうかライオンのオスってそんなに役立たずだっけ! 声でかい以外の長所なかったっけ!? 昔ならレッドポジションだよ!?
ライオンのオスの権威失墜とリンクするように、全体的に「古くさい男性像を振りかざすも今ひとつ通じない」悲哀キャラでした。古くさいんだけど、本人はそこをどうしても変えられないんだよ。ライオンのオスだから。メスに対しては優しくしなきゃいけないし守らなきゃいけない、かわいかったら声かけなきゃいけない。ホントにちょっと前までモテキャラが持ってた属性を、「それもう古いから」って言い切っちゃってるんですよね周囲が。
Vシネでセラと対決したときも、「セラが望むから」っていう感じで、結局「女に弱い俺」は変えられなかった。でもそれがレオなんだよ。これだけハンデ背負ってるのに、レオというキャラの好感度は一度たりとも下がらないの、ホントにすごい。
タスク。
アオニンジャーの中田さんのアクション、ファンだったんですけど、ゾウさんのアクションは中田さんのしゅっとした感じが活かしにくいようでちょっと残念でした。浅井さんとのコンビネーションも前年ほど多くなくて、たまに出てくるとテンション上がってました。
知的なキャラはよかったと思うんですが、若すぎたのかちょっと他のみんなに負けてる感はあって、でも伸びしろという意味では一年でいちばん成長したと思います。見てて楽しかった。
若すぎた問題点としては、一人で抱え込む大和を客観的に分析して他のメンバーよりも的確にフォローできたかもしれないのに、精神的に未成熟だから踏み込めなかったという印象になってしまったことですかね。
あとEDダンスの決めポーズがかっこいい(笑)。
みっちゃん。
はじめに言うと、革新的なキャラ造形だったなと思ってます。
無粋を承知であえて言うなら、みっちゃんはある種の発達障害ですよね。その彼をヒーローサイド、しかも最初から強い追加戦士に持ってくるというのは、個性としての肯定・受容だと思うのです。これまで悪役かせいぜいヒーローに憧れるモブだった個性を「きみもヒーローになれる!」って保証したんですよ。
……という評価前提でね。
みっちゃんのコミュ障っぷりと、周囲の反応がリアルなわけですよ。めちゃくちゃ気を遣って接する大和、理解できずに怒り出すレオ、理屈で説き伏せようとするタスク、賢く距離をとるアム、みたいなの典型じゃないですか。だから、自分自身が彼に似ている、もしくは彼に似た人とつき合いがある、そのことで不利益を被ったことのある人は、操周りのドタバタをギャグとして受け入れることができないんじゃないかなって思ってたのです。
少なくとも私は、身近すぎて見ていられなかった。だから操に関してはできるだけ目を逸らして、うわべだけのギャグ要素だけを見ようとかなり努力してました。いや、ギャグの間とか大和の言い回しとかはけっこうツボだったんだけど。
大和が本当に操を対等な関係として意識を切り替えていたら、どこかで「操」呼びになったと思うんですよね。呼び方なんてどうでもいいだろって意味で。でも最後まで、わざわざ必死に考えた不自然なあだ名である「みっちゃん」のままで、大和にしてみたら「目線を合わせてあげる」ことしでか操を受け入れることができないってことなのかなと。それでも操は大和と自分が対等だと思っているわけで、それも気づいてる大和は永遠に「みっちゃんの親友」を演じつづけるつもりなんだろうなと思ったらもう、みっちゃん呼びしんどい(笑)。
くり返すけど、操の個性を全肯定して、ダメな性格だからと矯正するんじゃなく自分を受け入れる方向の成長に持っていくって、すごいことだと思うんですよ。
彼の真価が発揮されるのが最終決戦で、ジニスの正体が明らかになったとき。ジニスのメンタルって、どんなに説明ゼリフ尽くしてもたぶん普通は伝わらないんだけど、操が共感することによって理屈じゃなく共有される。物語全体を見たとき、ジニスのために操が出たのか、操によってジニスがこうなったのかはわからないけど、そこがつながるんだ!って鳥肌モノでした。
まあ操という造形のクオリティは理解した上で、操と大和がいっしょにいる絵面ってのがどうしても苦手で、Vシネのラストでやっと操から解放されたね大和くん、って思ってしまうくらいには、私の本能がその組み合わせを避けてしまうのです。
……まあコレ、超全集で「操のキャラは國島くんが自分の解釈で作り込んできたせい」と暴露されてて、おまえかよ!って脱力したんですけど。いや彼の役者魂と演じきった実力とイケボはすごいけども、もしちゃんと予定どおりのキャラだったら大和との関係性も変わってたのかな、と思ってしまって割り切れない……私の中にも陽気なジューマンが三匹ほどいてほしい。
デスガリアン。
ええと、ジニスさま。とにかくエロかった……です……
毎回ジニスさまがなんかしゃべるたびに「くあああエロいいい」って悶えてた気がする。前半なんか、何しゃべってたか思い出せないくらい(笑)。
でもベテランってホントに怖いなって思ったのが、「みっともない」正体を晒した瞬間、あれだけだだ洩れてたかっこいいエロスが消えて、ただの憎々しげな悪役声になってたんだよね。展開も合わせてものすごい感心してしまった。エロスって戦闘力みたくスカウターに反応しないようにもできるんだぜ……!
他の幹部連中もかっこよかったしドラマ背負ってたし、でもちゃんと誰にも同情の余地はないって言ってもらえるから、こっちも存分にジュウオウジャーを応援できる。倒すのためらいたくなるのはナリアくらいだったけど、そのナリアをジニスが手にかけるという完璧さですよ。
この徹底的な感じが好き。悪役に感情移入の余地を残しちゃいけない。クバルとかジニスとか、わかりそうな相手こそ「でも俺たちとは違う!」って持っていかなきゃいけない。
デスゲームのえげつなさもよかったです。遊び半分ってのが怖いんだ、侵略や征服とちがって命としても見られてないから怖いんだ。戦隊ってこの「悪役の目的」でストーリーとして成功するかどうか決まるとこあるよね。
真理夫おじさん。
ちょっとここに期待していた部分もあるので夢見がちに語るよ!(笑)
真理夫おじさんは、大和の止まり木だったんだろうなって。だからツリーハウスなのかなって。大和はそこが自分の家でおじさんがたった一人の家族だと思い込んでたけど、おじさん的には大和がいつか飛び立っていくと思ってたし、それを願ってもいたんだろうなあって。
おじさんは、大和が頼れるのが現状は自分しかいないのを知ってるから拒まないけど、父さんと和解したほうがいいとは思ってる。でも子供のころから問題が根深いのもわかってるから、むりに帰らせたりはしない。
大和はおじさんにも毎日気を遣ってるんだけど、でもそもそも居候として転がり込んだ上にジューマン4人も連れ込んで住まわせてるので、実は相当甘えてますよね。無意識の部分で、おじさんならなんでも許してくれると思ってる。性格的にも関係的にも。
大和は人でも動物でも、他者のためなら自分を犠牲にすることも厭わないんだけど、その土台には「自分はおじさんがいるから大丈夫」があると思う。自分を大事にしてる感じはないのに、自暴自棄な感じもないので、そう思うことにしました。
だから、大和が家に帰ってさびしいはさびしいけど、時々遊びにきてくれるくらいがおじさんも安心できるんじゃないだろうか。
結局おじさんもマイペースだから、大和を完全フォローはできないんだよなあ。それも前提で大和はおじさんに甘えてるんだろうけど。
父さん。
実はなんにも悪くなかった……とは言わないけども、大和と同じで自分を後回しにしちゃう人なんでしょうね。医者というのもあるけど。そういう人が家族を持つと、「後回しにする自分」の中に家族も入れちゃうのかもしれない。
お医者さんなので(笑)大きい家に住んでるわけですが、妻に先立たれて息子が口聞いてくれなくなって出ていって、どれくらいのあいだ広い家に一人で暮らしてたんだろうって思うと、そりゃワーカホリック加速するよな……などと余計なことを考えたりしました。
でも大和は確実に父親と同じルートを進んでるんだよなあ。「つながってる」とかいい話じゃなくて、自己犠牲の連鎖というか……
あと最終回後、バドがたびたびこの父子を訪れてんのかなって思うと、ちょっとイラッとする(笑)。なんかバドって、父さんに対してはちょっと甘えてる節があるし、大和に対しては勝手に甘やかしてる節があるし、無責任な親戚っぽい距離感であんまり好感度高くなかった……なんだろう、顔のせい?(笑)
大和くん。
初期設定はこんなにマジメなキャラだったのかなって疑問だった……のは、鞭を振るったり「本能覚醒!」とか「ナメるなよ!」とかわりと強気な要素が多かったから。そのへんの違和感と関連して変身後も。
浅井レッドけっこう好きなんですけど、やんちゃでトリッキーな動きが、アカニンジャーのときはキャラに合ってたのがジュウオウイーグルだと大和先生っぽくないっていうか、「素人が超人的な能力を得たとはいえとっさにそんな動きするかな?」っていう印象だった。今までそんなこと考えなかったけどなあと思ったら、「巻き込まれ型非戦闘員」レッドって最近いなかったよね……いや、浅井レッド好きなんだけどね!
ていう違和感はあったんですが、まあかっこよかったです。
レッドが調教師で他のメンバーが猛獣ってどういうことなの!?っていうのが第一印象。実際、そんな上下関係はなくてほっとしたんですけども。
一年間タカ兄を見つづけてきたせいか、メンバー中最も頭がよくて大人なレッドっていうのが新鮮で、同時にわくわくしました(笑)。こういうレッドの弱みが露呈して、そこから成長していくっていうのが大好物なもので!
でも、当初思ってた以上に優等生で面倒見がよくて、手負いの獣をほっとけないタイプで、結局最後まで自分を大事にする隙がなかったというか、他人の面倒ばっかり見てた気がする……
異世界の4人を保護してる上に、本来なら人間同士支え合えるはずの追加戦士がかまってちゃんのコミュ障で、対等になれる相手が誰もいなくて、おじさんの天然にもつっこまなきゃいけないし、唯一縋りたかったかもしれないバドさんがお父さん目当て(違)っていうしんどさ……あんな胃の痛そうなレッド覚えがない。
自分を大事にできない大和を救済してくれるシナリオを待ってたんだけど、バドから父への流れがちょっと駆け足すぎた気もするし……アムちゃんも絡めてもっと掘り下げてほしかった。アム王子が救うべきはそのへんのゲスト女子じゃなく大和姫だったんじゃないかしら!? 唯一大和より客観的な位置から俯瞰してた子ですよね。
まあお父さんと仲直りして家に帰るっていうのは、SHT的にそれだけで斬新なエンドなので、結末には文句はないです。ジュウオウジャーってああいう「大和絡みの一般人」の描き方が上手かった。そういう意味でも、みっちゃんは人間側ではなく動物側だったんだなと思うしジューマン彼女のおかげで大和離れできてよかった。私のほうが勝手に肩の荷下りた気分になった(笑)。
ずっと言いつづけてきたように、大和のビジュアルもキャラもすごく好きで、最後は常識や責任から解放されて「野生解放」できるようになるのかな、と思ってたんですが。そうはならなかったのだけが残念でした。人間とジューマンが和解しても、大和自身の問題は解決してないんじゃないかなって。
ここで落ちついたってことで、今後ゆっくり変化していくのかなあ。今からでもアムちゃんなんとかしてくれないかなあ(笑)。