【SS】ルパパト「夜道」

絶賛逃避中。
ということで、「魁透本の告知をしてるときには出せなかった魁圭SS」を今ここで公開してしまいますよ。
ずっとなんか書きたいと思ってたんだけど、映画でテンション上がった勢いでやりました。でも映画関係ないです。圭ちゃん呼びが定着したあたりの日常っぽい話。

ルパパトに関してはかなり初期から自分の好みがはっきり決まってて、受け攻めも私にしては(笑)わりと固定かも。
透真の相手は魁利以外想定してない。魁利が攻めっぽいのと彩さん以外の「女」に手を出さないだろうから相対的に受けというだけで、濱くんは本来攻めにしたいビジュアルです。30過ぎくらいのお兄さんをぶつけたいけどいないから彩さんはアラサーということにしている(変な妥協)。
圭一郎の相手も魁利以外ないと思ってる。昔の男とか大好物だけど、今回はいらない。だって圭一郎だから! どういう理由であれ結婚前にふしだらなことはしないのです! 魁利にだって許すかわかんないよ。結木くんもいい攻めになりそうだけど、圭一郎は未成年に手は出されても出さないだろうから相対的に受け。まあ手出されそうになったら逆に取り押さえるだろうけど、そういうとこも含めての魁圭ですんで。
魁利は……透真と圭一郎を同軸で相手にできるレベルの攻めではあるんだけど、ノエルや咲也にまで興味示してほしくはない乙女心。そもそもノエルは孤高のさみしがりやさんであってほしいので、だれからも構われないしだれにも手を出さないのがいい(歪んだ愛情)。咲也はガチノンケ。
うみつかは……目の前にあったら読みます(笑)。しほちんのこととかもマジメに考えるとドツボにハマりそうなので自分ではやらないけど!

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2018/08/05 11:30

【夜道】

その青年は、ときどき不安そうな目を向けてくる。
助けを求めて縋るような目を。
しかしつられて手を伸ばそうものなら、振り払われるのだ。

帰宅途中、街灯の下のベンチにぼんやり座っている彼を見つけた。
「魁利くん?」
思わず声をかけると、自分の足下を見つめていた彼は勢いよく顔を上げる。一瞬の動揺と警戒。
「あ、圭ちゃん」
しかしすぐに普段どおりの笑みを浮かべ、明るくふまじめな若者の顔に戻っていた。
「どうしたんだ、こんな時間に」
「べーつに。ただの散歩……疲れたから座ってただけ」
立ち上がってうーんと伸びをする彼に歩み寄る。
「こんな時間に用もなく出歩くのは危険だぞ」
「いや子供じゃねーし」
半笑いでそう返した彼は、ふと圭一郎を見つめてにやっと笑った。
「おまわりさんが歩いてっから安全っしょ」
歩いているといってもたまたま通勤ルートだからで、時間だって固定ではない。
「もちろんなにかあればすぐ駆けつけるが、いつも助けられるわけでは……」
「へえ?」
にやにやと覗き込んでくる顔に、自分の弱気を見透かされたと気づいてはっとする。
「いや……助けるよ、必ず。きみを危ない目に遭わせたりはしない」
たった一人の市民も守れずに世界平和などない。彼はそれを思い出させてくれた。
「そりゃ頼もしいわ」
いかにも真に受けていない表情で肩をすくめた彼は、帰ろうと足を踏み出した拍子につまずいたのか脚をもつれさせたのか、圭一郎に倒れかかってきた。
「おっ……」
正面からその痩身を受け止める。これくらいでいっしょによろめくような鍛え方はしていない。
「だいじょうぶ……」
助け起こそうと肩を掴んだが、彼は圭一郎に抱きついたまま、その腕に力を込めた。
「……………」
どうしたと呼びかけようとして、ふと彼の経歴を思い出す。
家族はなく、親代わりだった兄も現在は行方不明。仲は良さそうだが、それほどつき合いが長くない仕事仲間と住み込みで働いていて……
肩にすりつけられるように魁利の頭が動き、首筋に唇が押しつけられた。たまたま当たったのだろうと気にせず、彼の背に腕を回す。
折れそうなほどに細い。この背中に、どれだけの苦悩を背負って笑っているのだろう。どんな思いで、常連というだけの「おまわりさん」に縋っているのだろう。そう思いながら、華奢な背中をさすって柔らかい髪を撫でる。
耳元で彼が大きく息を吸うのが聞こえ……たかと思うと、肩を押しやられていた。
「ごめん、コケちった」
冷淡な突き放し方とは裏腹に、声はいつもどおり明るい。
「いや……転ばなくてよかったよ」
スーツの襟をひっぱり、曲がってもいないネクタイを直す。彼はさらに距離を置くように一歩退がる。
「足下に気をつけて、早く帰……」
「あのさ」
魁利は街灯の明かりを見上げ、ポケットに手を突っ込んだ。そして静かに言った。
「……オレのこと、かわいそうだと思ってる?」
「そんなことは……」
思っていない、という答えを待たずに彼は笑顔をこちらに向ける。
「オレ、そんな弱くねえから」
やんちゃな若者らしい強がりではあったが、その口調には圭一郎の助けなどいらないという強い意志が見え隠れしていた。
「じゃあね、おやすみ圭ちゃん……」
手を振って去っていく彼を、店まで送っていくべきか迷ったが、決して振り向かない後ろ姿に拒まれているようで動けない。
「……気をつけて帰るんだぞ」
そう声をかけるのがやっとだった。

その青年は、ときどき挑むような目を向けてくる。
おまえの正義はほんとうにこの世界で通用するのかと、責めるかのように。
その目つきは、まるで……

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圭一郎はわざとコケたなんて思いません。圭一郎だから!

正体バレのことを考えただけで楽しみすぎてゴロゴロします…というのを3月からやっててもう疲れてます。変身後の面割れと、仮面が飛ばされるのと、どっちが萌えるかシミュレーションしすぎて…